サブカル通信

アニメ、ゲーム、漫画などのサブカルチャーについて記事を書いています。

ワンパンマン2期が捨てたもの

最初に

まず、まず、決して今期のワンパンマンは面白くない訳ではないということをはっきりさせたい。

いや、むしろ面白い。面白いアニメの一つ。面白いのだけれど…

ワンパンマン」というブランドを引き継いだ作品としてはどうだ、というのが一番の問題。

ワンパンマン」としてのアイデンティティを捨てていないか?と問いたい。

それでも面白いアニメを作れるのはすごいのだけれど。もうちょっと行けただろってのが正直な感想。

ワンパンマンアイデンティティ

じゃあ、どういった部分で「ワンパンマン」としてのアイデンティティを捨ててしまったのかを語らなければいけない。

 

そのためにはまず何がワンパンマンアイデンティティか、整理しよう。

 

ワンパンマンは基本的に、最後の敵に対する一発のパンチが全て。

その一発のパンチまでの時間は単にビルドアップでしかない。

最後のパンチの準備をするために、20分弱の映像を視聴者は見ている。

 

作品の見せ場を最後に控えてる分、見せ場までのテンポが大事になる。

展開を丁寧に扱わなければいけない。

ストーリーもないからキャラクターの間の関係性でも見せ場を作れないし、最後のパンチを際立たせるためにそれまではむしろあまり見せ場を作ってはいけない。

視聴者をあまり興奮させちゃいけないのだけれども、つまらないと思わせるのもダメ。ちょうど「面白い」と「面白くない」の狭間の微妙なところから、ゆっくり最後のパンチがもたらす面白さに視聴者を誘わなければいけない。

 

だけれども…ワンパンマン2期でそれが果たせているかと言うと、そうでは絶対にない。

じゃあ、問題はなんだったの?

まず、肝心のテンポが制御できていない。

視聴者をゆっくりと最後のパンチへエスコートするような丁寧なテンポが必要になるのだが、テンポが急に早くなったりする。つまり、「いきなり」な展開が多い。

ある登場人物への知識がなくて感情移入も何もできない内に死んだりだとか。

前提とかストーリーの構築をする前に展開が進むから、視聴者に対するエスコートがガサツに感じる。

 

そして急展開が多い割りに、展開に抑揚がない。

BGMが過度に使いまわされたり、ずっと一定していたり。

少しずつ抑揚を加えなければいけない類の作品なのだけれど、ずっと平坦な状態で物語が進められる。そして、思ってもいない場面で急展開が打ち込まれる。

 

視聴者という純粋な乙女を、アニメスタッフは紳士としてエスコートしなければいけない。

乙女がしっかりと心の準備をできるように手を取って、丁寧にレストラン、綺麗な街並み、そしてホテルへと導かなければならない。そう、最後の一発のために。

今のアニメスタッフがやっているのは、女の子をデートでびっくりドンキーに連れて行ってるようなもんだ。これじゃあ快くホテルにはいけない。

最後に

まあでもこういう感じの作品の作り方をしたのも意図的なのかもしれない。

最後のパンチまでの持って行き方がワンパターンだと、飽きられるのではないかと思って色々実験したのかもしれない。

 

でも、水戸黄門的なワンパターンさが好評だったのではないのだろうか。

それが最終話の高評価につながったのかと。

 

結果的にワンパンマンとしてのアイデンティティを若干捨てている結果となってしまった。

 

漫画のワンパンマンは人気だから、多分3期もできるであろう。

その時は、最後のパンチまで色んな工夫をしながら、快く最後のパンチを迎えられるような作品が見たい。