「世話やきキツネの仙狐さん」の仙狐さんが僕らにもたらしてくれたもの
世の中はストレスたっぷりだ。
ブラック企業。
否、別にブラック企業でなくても、残業は当たり前。常に人間関係に気を張らなければいけない。上司はあまり良い人間ではないかもしれない。経済も悪く、どこまで言っても将来が心配。
全てが嫌な割りには、物事にNoと言えない。
あの嫌な上司にも、従っている。
残り作業がない中で定時になっても、帰るのは後ろめたさがあり何もしていないのに会社に残っている。
人に言いたいことを言えずに、我慢する。
そして何より、周りと協調してしまう。それが自分を蝕む要因となっても、我慢してしまう。自分の精神や健康よりも、周りの調和を優先してしまうが為に。
プレッシャーを精巧に与え、僕らを従順な働きアリにするのに特化した機関と化してしまった日本社会の中で、僕らはどうやってストレスを溜めすぎなければ良いのか。どうストレスを減らしていけば良いのか。
どう癒しを求めれば良いのか。
降臨した癒しのヒロイン
そんな中で、水曜の夜、画面上に登場した癒しのヒロインが、仙狐さんだ。
仙狐さん。さん付け。妾はさん付けによりリスペクトを表明する。
1人暮らし。
実家住まいじゃかっこ悪いとレッテルを貼られる都会。
一人でいたら、誰にも世話をしてもらえない。
そこに現れたのは何か。
世話好きの狐人間だ。
世話が大好きな小さな女の子だけでもハートを撃ち抜かれそうなのに、一々様子を伺ってくる。この時点で癒し。
世話好きな上に、狐っ娘。
猫の様な女の子に飽きてきた頃に、良くも別角度から放ってきやがったなリムコロ(※原作の作者)。
モフモフモフモフモフモフモフモフ。
…モフモフだけだと思ったか?
モフモフだけじゃない。
そう、完全にペットという枠を超えている。
モフモフできる上に世話もしてくれるし、甘えさせてくれるし…新しい世界を見せてくれている。
狐っ娘と巫女服といった割りとテンプレート的な特徴に加えて、モフモフ感が伝わる工夫でキャラクターとして突出させている。
狐っ娘と言っても、可愛い女の子に狐の耳とでかい尻尾が加わっただけ。
人間らしさを崩すことなく、上手く狐要素を加えられている。
上手いと思ったのがその尻尾。でかい。身体とのサイズの対比がめちゃくちゃ。あんなサイズの狐、動物の方のキツネに付いてても意味がわからないくらいデカい。だいたいキツネの尻尾はあれより細長いだろ。あんなデカい毛玉みたいなのになる訳がないだろ。
ただ、あのデカい尻尾によりモフモフ感が表現できている。
人間としての原型を留めたいから、体毛を生やす訳にはいかないところで、尻尾にモフモフ感を持って行ったのは可愛さに大きくプラスした。
そして何より、可愛い。ただ単純に可愛い。
どこが可愛いとかじゃなくて、ただただ可愛い。
可愛すぎて、どこが可愛いとかを語るのが失礼に値するくらいに可愛い。
仙狐さんが僕らにもたらしてくれたもの
けものフレンズは同様の動物擬人化系のアニメだ。だけれども、仙狐さんはけものフレンズとは差別化されている。
全てを肯定してくれることによってI.Qを融かすことにより僕らに人間性を芽生えさせてくれるのがけものフレンズの現代社会に対して与えられた使命。
けものフレンズが肯定してくれる一方、仙狐さんは否定してくれる。
何を否定してくれるかというと、ストレスの根源となる全てをだ。
休んでも良いだろ。休日出勤してしまったら「休日」の「休」は何を意味するんだ。
現実が僕らを追い詰めようとしている。
そこで仙狐さんは、休むことが重要だったり。
ダメなことはダメであることを教えてくれる。
社会も、学校も教えてくれない人間としての重要なことを教えてくれる。
そして、僕らの身の回りに関して気を使い、精神面での世話をすることにより、僕らが
人間性を取り戻すための余裕を与えてくれる。
甘えろ
見る抗うつ剤だ。見ろ。
視覚情報は目を伝って脳の感情野を刺激し、癒しとなって血液に流れる。
仙狐は甘えさせてくれる。そして、甘えるのを歓迎してくれる。
僕らを追うものを全て否定してくれる。
荒み始めている人がいたら、ぜひ水曜の夜にリモコンの「9」ボタンを押して見てほしい。
テレビを消す頃には、安らかに寝床へ向かう準備ができているはずだ。